出光美術館「生誕150年 板谷波山─時空を超えた新たなる陶芸の世界」展に行ってきました。

出光美術館で開催されている「生誕150年 板谷波山─時空を超えた新たなる陶芸の世界」展を観に行ってきました。本展もずいぶん前から観に行こうと思いつつ、ようやく会期終了間近に行くことができました。

波山の作品を鑑賞するのは初めてでしたので、事前にかなり勉強して訪問しました。

出光美術館が入る国際ビル(帝国劇場も入っています)

丸の内は高層ビルが本当に増えましたね…。


今回の企画展のポスター。出光美術館は8階です。



今回の展示から特に印象に残った三点。


葆光彩磁花卉文花瓶 昭和3年頃

気品のある器形、美しい花卉文、独特のマット釉が醸し出す色合いはまさに波山独自のものですね。

素晴らしい完成度だと感じました。

ポスターに掲載され(上写真)、また会場で全作品の第一番に展示されているのもわかる気がいたします。


彩磁延壽文花瓶 昭和11年

仙桃文のやや濃いピンク、葉の緑、背景の白と青海波の藍のコントラストが素晴らしいです。器形も見事です。


青磁鎬文鳳耳花瓶 昭和38年

展示の解説にある通り、南宋龍泉窯の砧青磁を彷彿とさせる作品ですが、胴部の鎬蓮弁文の彫りが波山の独自性を際立たせています。

波山の青磁もまた素晴らしいですね。



19世紀末から20世紀前半という時代に、釉下彩、葆光彩磁といった自ら切り拓いた領域を含むこれだけの広い作風全てにおいて、これだけの非常に高い完成度の作品を、一人の陶芸家が製作したとは本当に驚くばかりです(轆轤は自ら挽かず専門家に任せたとのことですが。ただその割り切りも別な意味ですごいですね)。

本ブログでは毎回筆者の印象に残った作品を三点コメントしてきておりますが、今回は選ぶのがとても難しかったです(三点に拘る必要もないのですが…)。

陶芸を家業とする家に生まれたわけではない波山が、一方そうであるがゆえに従来の陶芸の世界では当然であった工房における分業制から脱して、(轆轤以外の)作品制作の全てにかかわった、という意味では近現代陶芸の嚆矢なのですね。

また改めて波山の独創性。東京美術学校時代の専攻を活かした彫刻技法も用いて、釉下彩による磁器、そして葆光彩磁といった作品を創り出した独創性は驚くべきものと感じます。


そしてその作品の気品、峻厳な造形美は比類がないですね。


まさに不世出の陶芸家と実感しました。

恥ずかしながら今更初めて波山の陶芸に接し、その業績の偉大さに驚かされました。




美術館から皇居が一望できます。緑が鮮やかです。


11月3日から泉屋博古館東京でも波山生誕150年の企画展が開催されるようですので、こちらもぜひ観に行きたいと思います。

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